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創立30周年🌸変わるもの、変わらないもの

1994年に創立された当会は、2024年2月12日で30周年を迎えました。
これまで支えてくださった皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

今回は、介護福祉士会の誕生についてやこれまで先輩方が築いてきてくださった道のりを、及川会長のインタビューを通して振り返ります。

及川会長(2024.2 当会事務局にて)




はじまり

── 介護福祉士会は、全国に先駆けて香川県介護福祉士会が一番最初に創立されたのですね。

及川会長 そうです。香川県介護福祉士会が創立されたのが1989年なので、日本介護福祉士会が創立される5年前になります。
その年に、第1回介護福祉士国家試験がおこなわれ、日本で初めての介護福祉士が誕生しました。
急増する介護ニーズに対応するため、専門職として「介護福祉士」という国家資格ができ、都道府県に介護福祉士会が作られていきました。そんな中、全国の介護福祉士会が一枚岩となり、介護福祉士の資質向上などを通して地域福祉の推進に貢献することを目的として、日本介護福祉士会が創立されました。

『設立趣意書』等団体資料はこちらから


── その頃はどのような介護だったのでしょうか。

及川会長 私は医療現場での介護に携わっていましたが、その頃は寝たきりの方も多く、QOLや利用者主体の意識よりもスピード重視の介護が求められていたように思います。まだ「措置制度」の時代だったので、介護の必要の有無や利用できるサービスを決定するのは行政で、利用者にとっては制限も多かったですね。

措置制度(老人福祉法)
【背景】少子高齢化の影響に加え、高度経済成長期に地方から都市部へ人口が流出したことで核家族化が進行。家庭内での介護が困難となるケースに対応するため、「公助」として行政措置による介護サービスが提供された。

当会発行 介護福祉士の本[p4-5  介護のこれまでとこれから]より

── 創立された翌年には倫理綱領が宣言されています。大切にしてきた価値観が反映されていると思いますが、具体的に言うと、その価値観とはどういったものでしょうか。

及川会長 働いているとき、私たち介護福祉士は、自分たちの目の前にいらっしゃる方の身体はもちろん、基本的人権や個人情報など守らなければいけないことがとても多いですよね。
言ってはいけないことやしてはいけないこと、そういうことはもちろん皆さん分かって仕事をしているのだと思います。
ただ、働くなかで自分の感情をコントロールすることが難しい場面も出て来ます。そういう時に、自分たちはこうあらなければいけない、という確かな姿勢を持っていなければならないと考えています。

こちらは会報誌ニュースの初号(1994年4月15日発行)


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── その後、2000年には社団法人日本介護福祉士会となりました。
その年には介護保険制度がスタートします。社会全体で支えていく仕組みが作られていく中、働いていて変わったと実感することは何かありましたか。

及川会長 「措置」の頃は、行政や自治体にそって介護をおこなえばよかったのですが、「契約」に変わって利用者の意思で必要とするサービスを選択できるようになりました。それに伴い、自分たちには何ができるのか、また、自分たちの良さ、をしっかり示していかなければいけない、と実感しました。

── それから生涯研修体系や認定介護福祉士の仕組みなど、多くの活動が始まりますね。2011年には東日本大震災への救援ボランティアの派遣をおこないました。

及川会長 はい。東日本大震災では、避難所のなかで介護福祉士という職能がとても大事だ、というお声はたくさんいただきました。その経験があったからこそ、今回の能登半島地震でも早い段階で派遣をおこなえたと考えています。全国とのつながりを生かした取り組みがおこなえるということは、職能としての価値がそこにあるのではないかと思います。

わたしも今回の能登半島地震で実際に避難所で介護支援をおこない、避難所にいる方たちのその場の生活支援だけでなく、その後の生活へどう繋いでいくかが介護福祉士の役割だと感じました。

1.5次避難所における要介護者に支援を開始した初日(1.10)
物品持参で駆けつけた石川県介護福祉士会有志スタッフ


それでも、変わらないこと

── 昨年度からモデル研修として『デジタル・テクノロジー基本研修』が始まりました。そこにはどんな想いがありますか。

及川会長 少子高齢化が進み、介護現場も人材が不足する一方で、介護ニーズはますます増加しています。その中で、介護職員が目の前のご利用者にしっかり向き合えるよう、本当に必要な業務やもっと効率良くできる業務の整理が必要だと実感しています。
また、介護福祉士として働いてきた30年間で、ニーズの多様化・複雑化・高度化などで介護福祉士に求められる役割も大きく変わってきました。90歳、100歳という方の生活を支援するには、介護福祉士自身も考えなければいけないことが変わってきますし、情報収集力やアセスメント力がより一層求められているな、と感じますね。だからこそ専門職なんだ、と。
介護のやりかたもどんどん変わってきていますよね。だから常に学び続けるることのほか、情報収集や利用者のために他職種と連携していくスタンスは持ち続けなければいけないと思います。

── 時代の変化とともに介護を取り巻く環境が変わる中、それでも変わらないな、と考えることはありますか。

及川会長 常にご利用者側にたつ、ということでしょうか。ご家族がいても、他職種の方がいても、ご利用者の立場にたって、その方が何に困っていて何を頑張っているのか、どんな希望をお持ちなのか、しっかり代弁し示すこと。それができるのが私たち介護福祉士であることは変わらないと思います。
生活という広い範囲で支援をしている専門職、ということを今後もしっかりと示していきたいと考えています。


おわりに

インタビューを通し振り返ってみると、介護を取り巻く環境や制度はこの30年で大きく変わりました。措置から契約へ、また現場では外国人介護人材など多様な人材を受け入れることで、人材確保への努力が続いています。そしてデジタル機器やテクノロジーの活用が徐々に進められ、介護福祉士として求められる役割も少しずつ変化がみられます。

しかしすべては、介護を必要とする人のために、という想いに変わりはありません。

これまで共に歩み、支えてくださったすべての方に、改めて心から感謝を申し上げます。今後も、その人らしい生活を支える専門職としての地位の向上、介護サービスの質の向上を目指し、変わらないものを大切にしながら、変わることを恐れずに、成長し続けます。




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