介護を題材にした映画の指導監修で撮影現場にお邪魔しました!
こんにちは、日本介護福祉士会note編集部です。
昨年当会が介護技術監修を担当した映画「自宅でありがとう。さようなら」が劇場公開となりました。
この記事では、映画監修時の様子や映画の見どころについてご紹介します。
思わずドキッとするキャッチコピー
『父親に死んでほしいと思ったー』完成したポスターのキャッチコピーを見たとき、当会としてこの映画を皆さんにご紹介することについて、一瞬の迷いが生じました。
『介護福祉士の職能団体が、「父親に死んでほしい」だなんて、何を考えているんだ!』『高齢者や、介護に対するイメージを落とすのではないか!』
などのご批判をいただくのではないかと思ったから。
思わずドキッとしてしまうようなキャッチコピーですが、この映画、製作指揮を執られた高井義行さんの在宅介護記録をベースに制作された物語なんです。「父親に死んでほしいと思った」というセリフも決して劇中の過剰演出でなく、父親の介護に奮闘していた当時の高井さんが、思わず父親に対して抱いてしまった偽らざる感情。
この映画は、ある日突然訪れた在宅介護生活に戸惑い、悩み、振り回されながらも、次第に互いの絆を深めていく家族の様子を描いたヒューマンドラマです。
映画のあらすじ(ちょこっとだけご紹介)
松本良昭(津田寛治)は妻まさこ(星ようこ)と息子隆良(吉川康太)、父恒三(峯秀一)、母晴子(藤夏子)の5人家族。
父恒三が寝たきり状態となり松本家の在宅介護生活がスタートしたものの、まさこによる排泄介助をどうしても受け入れることができない恒三はある日、断食によって即身仏になることを思い付き、一切の食事を拒否するようになる。
なんとか食べ物を口にしてもらおうと、あの手この手を試すも、恒三の意志は固い。次第に衰弱していく恒三の姿に困惑と焦燥の表情を隠せない松本一家。
良昭は恒三に食事を食べさせようと奮闘する中、幼い頃父親に連れて行ってもらった寿司屋や焼き鳥屋での古い記憶が、急に鮮明に蘇るのを感じていた。駆け付けた医師の対応で一命をとりとめた恒三は断食をやめ、良昭たちの在宅介護は恒三が自宅で家族に看取られながら逝くまで続くこととなるー。
映画の見どころ
この映画の良さは何と言っても、入念に作品を作り込むというより「家族の在宅介護生活の日常を自然に切り取った」ところにあると思います。
良昭が恒三との思い出を回想するシーンや、隆良がおむつ交換をする際に恒三に語りかけた「人生の最初もおむつ、最後もおむつ、上手いことできてるな」というセリフも、高井さんの家族介護での一場面がベースになっているそうです。
役者の皆さんもいかにリアリティを出すかという点を非常に重視されていました。津田さんをはじめ皆さん、「このシーンのときは一般的にどのような心情になるのでしょうか」「このセリフはどのようなトーンで話せば良いでしょうか」など、介護監修でお邪魔した私たちに積極的に質問される熱の入れようでした。
映画監修にお邪魔して
今回、映画監修・介護技術指導で実際の映画撮影現場にお邪魔して、一番印象に残ったのが関係者の方々の一本の映画にかける情熱でした。
皆さん早朝の搬入前から事前の打ち合わせをこなし、夜遅くに現場を撤収した後も翌日のための打合せなど…その業務量は「寝る時間、ありますか?」とこちらが心配になってしまうほど。しかも、この業務、多忙な俳優陣のスケジュールを押さえて超過密日程で撮影を行っているため、何日も連続で続くんだそう。
撮影が終わってからも、映像編集や音源挿入、確認など、ハードな日々が長期間に渡って続きます。
私たちが普段映画を楽しめているのは、それを支える皆さんの活躍があってのことだと、改めて思いました。撮影スタッフの皆様、俳優陣の皆さま、改めて、今回は介護監修にお招きいただき、ありがとうございました。
今後もお身体をお大事に、素晴らしい作品をたくさん世に送り出してくださいね。