【介護福祉士国家試験】過去問解説②〈第32回(令和元年度 ) 問110〉
過去問解説②
喀痰吸引の問題は、毎年出題されています。実務でも重要な内容となるので、試験を機会に介護職が行える喀痰吸引についての知識をバッチリ💯にしておくと、一石二鳥ですね♩
解説
動脈血酸素飽和度という言葉は難しそうに聞こえるかもしれませんが、この言葉は、私たちの血液の中にどれだけの酸素が含まれているかを示す指標です。私たちの体は酸素を使ってエネルギーを作り、体を動かしたり、考えたりするためには酸素が必要です。酸素は血液によって全身に運ばれます。
喀痰(たん)吸引というのは、気管カニューレ(これは喉に挿入されているチューブのことです)を通して、肺から出る痰を取り除くことです。これは通常、呼吸を助けるために行われます。
しかし、喀痰吸引が長くなった場合、吸引中は通常の呼吸ができないため、体に酸素が十分に供給されない可能性があります。これは特に長時間吸引が行われた場合や、患者がすでに呼吸困難を抱えている場合に問題となります。
だからこそ、吸引が終わった後は患者の「動脈血酸素飽和度」をチェックすることが非常に重要なのです。もし酸素飽和度が低ければ、患者が酸素を必要としている可能性が高く、迅速な対応が必要となります。
他の選択肢である体温、血糖値、痰の色、唾液の量も健康状態をチェックするための重要な指標ではありますが、この特定の状況(喀痰吸引が長引いた後)において最も直接的に影響を受ける可能性が高いのは「動脈血酸素飽和度」なのです。
✕ 1 体温
体温: 体温は私たちが風邪をひいているかどうか、あるいは他の感染症があるかどうかを知るための一つの指標です。しかし、喀痰吸引の時間が長くなったからといって、直接体温に影響を及ぼすことは少ないです
✕ 2 血糖値
血糖値: 血糖値は私たちの体がどれだけ糖分(エネルギーの源)を血液中に持っているかを示します。これは糖尿病の人々にとって特に重要ですが、喀痰吸引の時間が長くなったからといって、直接血糖値に影響を及ぼすことはほとんどありません。
〇 3 動脈血酸素飽和度
設問のとおり
✕ 4 痰の色
痰の色: 痰の色は肺の状態について多くを教えてくれます。緑や黄色の痰は感染症を示す可能性があります。しかし、喀痰吸引の時間が長いという状況では、吸引後の痰の色は直接的な関係が少ないです。
✕ 5 唾液の量
唾液の量: 唾液の量も健康状態に関する情報を提供します。しかし、喀痰吸引の時間が長くなったからといって、直接的に唾液の量に影響を及ぼすことはありません。
監修:日本介護福祉士会 広報委員会