【おじゃまします#2】広島市立畑賀小学校『おもいやり体験』
素敵な取り組みをしている事業所や施設、地域を支えている方など、たくさんの方に会って話をうかがう企画、第二弾です。
よっちゃんの授業とは
突然ですが、みなさんは「介護」についてどのようなイメージをお持ちですか?「小学生に対して介護の仕事を分かりやすく説明してください」と言われたら、どんな風に説明しようと思いますか?
今回は、介護福祉士養成校の教員として働くかたわら、小学生から高校生まで、毎年10,000人以上の子どもたちに介護の魅力を伝える活動を続ける「よっちゃん」の授業に密着取材してきました。
思いやり体験
広島市立畑賀小学校。山のふもとに位置する自然豊かな小学校の体育館いっぱいに、よっちゃんの声が響き渡ります。
「いいよ、言ってみて!」「すごいじゃん!」「はい、みんな拍手!!」
たとえ子どもたちの回答が正解じゃなくても、よっちゃんは決して否定しません。子どもたちが一生懸命考え、発表する姿に、よっちゃんは最大限の賛辞を贈ります。
初対面の大人を前に、最初は緊張した面持ちの子どもたちも次第に笑顔を見せるようになります。
体育館での体験授業では、車いすを押して段差を超える体験や、床で寝ている友達を起き上がらせる体験、いすに座る友達を隣のいすに移す体験など、テンポよく体験が続きます。
子どもたちの眼は真剣そのものです。恐らくほとんどの子にとって、介護は未経験の世界。そんな子たちに対しても、よっちゃんはまず本人たちにやらせてみます。「どうやったら相手にとって快適で安全か」「どの方法が最も負担なくできるか」を子どもたち自身に考えさせることが狙いです。
そのうえで、「よっちゃんたち介護のプロは…」と種明かしをし、プロの技を実演。よっちゃんの介護技術に、子どもたちは驚きの表情を見せます。そして、よっちゃんがやって見せた通りに自分たちもやってみて、改めてプロの技術の高さを実感します。
よっちゃんの体験授業は、単なる体験では終わりません。
友達とお互いに介護し、介護される体験を通して、子どもたちの心の中に体の不自由な方々を思いやる気持ちが芽生えてきます。
体験をひとつ終えるたびによっちゃんは子どもたちに熱く語りかけます。
「介護って何かをしてあげることだと思われがちだけど、本当の一番大事な介護は、応援することなんだよ」
「よっちゃんたちプロは介護の技術を通して愛と心を届けるんだよ」
「たとえ寝たきりでも、認知症の人でも、一生懸命生きている人たちに、体が動く僕たちができることって、大事にするってことじゃないの」
よっちゃんの熱いトークに大きくうなづく子どもたち。
気付けば90分の体験授業があっという間に過ぎていました。
(よっちゃんのこころの授業に続きます)