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日頃の業務さえ回せていればいいや、から認定介護福祉士に

認定介護福祉士は、これまでの経験と修得した幅広い知識等を活用し、利用者、職場、他専門職、地域など、幅広くかかわりながら支援する使命を担っています。介護福祉士として働きながら、認定介護福祉士を取得した藤澤さんに、資格取得の経緯や資格を生かした実際の活動、その後のスキルアップなどについてお話をうかがいました。




働きながら認定介護福祉士にチャレンジした理由

私は介護職に従事して、大体17年ぐらいです。働きながら、認定介護福祉士にチャレンジしてみようと思った理由は、3つあります。
1つ目は当時、職場で介護主任をやってみないか、という打診があり、任務を全うできるかという葛藤、不安があったんです。介護についてきちんと知識を身に付けたい、というのが1つ目の動機です。
2つ目は、職員に対して教育的な指導をする時に、知識の浅さや根拠がない対応をしていたことがありました。きちんと対応できるようにしたい、というのが2つ目の動機です。
3つ目は、認定介護福祉士養成研修を受ける5~6年前にファーストステップ研修を受講した経験にあります。受講後、すごく成長したなという実感があり、もう一度勉強し直してみたいと感じていました。

それまでの私は、介護という仕事に対して何となく中途半端で「日頃の業務さえ回せていればいいや」みたいな、スタンスで働いていました。何か結果を出しているかっていったら何もない、と悩んだ結果、認定介護福祉士の資格を取ろうというのが、一つの着火点ではありました。


研修受講をきっかけに、意識・働き方・キャリアが変化

ファーストステップ研修で自分自身大きく成長したと実感し、「もっと勉強したい」と思うようになりました。
当時を振り返ると、それまでの私は介護過程を展開する力や、チーム実践力などが不足していました。ファーストステップ研修を受講し学んでいくなかで、介護実践について少しずつ言語化できるようになってきました。この研修での学びを経て、根拠を示し他職種を含むチームメンバーと連携することが、何となくですができるようになったと実感しました。

それまでは自分自身、介護には正直どちらかというと魅力を感じていませんでした。何となく働いて、お金が稼げればいいやぐらいのスタンスで。このままじゃいけないだろうって考えるタイミングで研修を受けたので、結果、すごく刺激を受けました。ファーストステップ研修を受けることが、一番最初の転機だったと思います。

自分の成長に気付いたことで、学ぶことの面白みを感じるようになり、色々なことに興味を持ちながら仕事に向き合えるようになりました。
ファーストステップ研修受講から5~6年後に、認定介護福祉士養成研修(以下認定研修)を受講しました。認定研修の受講を進めるなかで、仕事のスタイルや考え方も変わっていきました。
EBP(エビデンス・ベイスド・プラクティス)を重視し、定性評価や定量評価を実践に取り入れ、根拠をもとに提案や実践に繋げていくスタイルは、認定研修で得た一番の財産だと思います。


認定介護福祉士養成研修で培ってきた多職種連携

認定介護福祉士養成研修で、他職種との連携のなかでも共通言語、共通理解による連携というものがとても大切である、と教えていただいことは、私のなかでとても根付いています。

以前勤めていた療養型病床の職場では、介護職のなかで医学的なことを勉強する場を設けていました。
例えば、嚥下えんげの仕組みから筋肉の動きなどを講義いただいて、介護職の中で理解を深めるといった取り組みです。そのなかで、他職種の方たちから「介護福祉士さんたちの関わりがあるとすごく助かった」という声をいただき、成果を出すことができました。

共通言語、共通理解のなかで介護としての専門性をちゃんと発揮できるようにしていこう、ということは他のメンバーとも共有していました。
他職種から「介護福祉士さんは、こういう視点で見てくれているんだ」や「生活面は介護福祉士さんに任せよう」という声をいただくと、「多職種から評価されてるんだ」という喜びになり、私たちの職業的なアイデンティティーにも繋がったということが大きな成果だったと思います。

その他に、マニュアルによる業務の標準化であったり、キャリアパスの作成や教育システム、プリセプターシステムの構築等にも力を入れて取り組んできました。
それらは全て、認定介護福祉士養成研修のなかで培ってきたものを、自分なりにこうやったらどうか、と考えて取り組んできたことです。そういう意味でも研修を受講して、職場の活性化ができたことは成果のひとつだったと自分自身で振り返っています。


成果を見えるようにする、定量評価もして効果を見せていく

福祉用具をきちんと正しく活用できる人材を育成して、腰痛の発生率を低下させた取り組みもありました。論文も作成しましたが、移乗用リフトを取り入れてどのように腰痛発症率が変化していくか、データを取って実践してみました。
移乗用リフトを入れる前の約2年間は、大体年平均で4~5名ぐらいの職員が腰痛を理由に1週間程度の休みを取るという状況が続いました。状況の改善へむけ、リフトリーダーという資格をつくり、適切に扱える職員を中心に現場のなかでリフトを普及をさせました。まずはお試しでリフトを取り入れてみようとなり、1年評価をしてみました。その結果、リフト導入後の年は、腰痛発生者が1名という実績となりました。

認定介護福祉士になる前は、根拠を示す、ということの意味が自分のなかで理解できていませんでした。何をもって根拠とするのか、どういうデータをそろえれば根拠になるのかということが、今まで全然つながっていなかったんです。しかし認定介護福祉士となり、学びを深めながら、自分なりに気になった論文を調べたり、試行錯誤を繰り返した結果「根拠ってこうやって示せばいいんだ」ということが何となく理解できたというのも大きいです。


認定介護福祉士を取得したあと公認心理師の資格も取得

研修のなかで学びを深めたり、気になる点について論文を調べたりといったことを繰り返すうちに、根拠の示し方やデータの集め方といったスキルが自然と身につきました。
認定研修修了後、通信制大学で心理学について学び、2022年度に公認心理士の資格を取得しました。認定研修での学びを経て、特に私は介護業界における心理的支援の専門性の発展を課題と捉え、心理分野(特に臨床心理学)に非常に興味を持ったことが資格取得の背景です。


認定介護福祉士の資格取得を検討している方へ

研修はすごく楽しみながらやってほしい、と思っています。
先生たちの言葉一つひとつを暗記するよりも、自分がすごく「これ、大切だな。こういうことしたらもっと面白いかもしれないな。職場が発展するかも」という気付きを研修の中で得るといいと思います。その得たものを自分たちの力で種を育んで、大きな実をつくり、発展させていく、という形が理想です。
「介護福祉士は資格を取ってからがスタート地点」とよく言われますが、資格取得後の継続的な学びを通して自身を高めていけるという点では、介護福祉士にしろ、他の資格にしろ、どの専門職にも共通していると思います。


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