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愛知県立古知野高等学校福祉科さんの授業に参加しました!

日本介護福祉士会note編集部です。
今年も残りあとわずか。インフルエンザに加え、ここにきてコロナ感染も増えてきていますね。皆さま、体調管理を万全にお過ごしさくだい。
さて本日は、愛知県立古知野高等学校さんの授業レポートをお送りします。


愛知県立古知野高等学校

愛知県の北部に位置する江南市は、岐阜県との県境となる木曽川の南側に面した自然豊かな都市です。名古屋駅からも電車で20分ほどと近く、名古屋市のベッドタウンとして栄えています。

愛知県立古知野高校さんは、江南市のちょうど中央にあり、歴史を感じさせる大きな校舎と広い校庭が印象的でした。
本日お邪魔したのは、福祉科1年生の授業。教育課程実践検証協力校として国立教育政策研究所の調査官が見守るなか、授業はスタートしました。

普遍的生命倫理原則

はじめに、普遍的生命倫理原則のおさらいから。
「自律尊重の原則」「善行の原則」「悪不履行の原則」「正義・公平の原則」の4原則をスラスラと板書していく生徒さんたち。

続いて、深夜徘徊をするSさんへの対応事例について、普遍的生命倫理原則に従ってグループで倫理的判断を行いました。
多くのグループでは次のような結果になりました。

自律尊重の原則:×
善行の原則:⚪︎
悪不履行の原則:⚪︎(条件付き)
正義・公平の原則:×

Sさんの意向や権利には反する一方、本人の安全や他の利用者さんのことを考えると、ベッドの四方を柵で囲むこともやむを得ないのではないか、と考える生徒さんが多かったようです。
いわゆる、倫理的ジレンマと呼ばれる状態であり、解決のための倫理的調整について、個人ワークで対応方法を考えることになりました。

「Sさんと一緒に徘徊する」
「Sさんが良く眠れるようになる方法を考える」
「Sさんやご家族と話し合い、一緒に考える」
「ベッドから転落しないよう布団にする、部屋に防音加工を施す」

『支援者の考え方次第で、利用者の生活は大きく変わる』という先生の言葉が生徒さんたちに響いたのでしょうか。
1年生のため、認知症についてはまだ深くは学んでいないとのことでしたが、Sさんやご家族、周りの利用者さんの立場で想像しながら、皆さん一生懸命に解決策を考えていました。

生徒の皆さんへ向けて

発表の後、当会の倫理担当役員である酒井常任理事から、生徒の皆さんに向けてアドバイスとエールをお送りしました。

「人の行動には必ず理由や目的があります。Sさんがなぜ歩こうと思い至ったのかを考えることが、支援者として大切な視点です」
「何かを探しているのではないか、トイレに行きたいのではないか、暗く静まり返っていて不安になったのではないか、とか。皆さんには支援者として『もしかして…』と考える気持ちを大切にして欲しいです」
「介護の現場では、今回のように倫理的ジレンマに遭遇するケースが度々あります。職業倫理は介護福祉士として働く上で常に向き合っていくものです。皆さんも専門職として、利用者さんの幸せな生活のため、常に倫理に向き合い、考え続けられる介護福祉士になってもらえると嬉しいです」

本日授業見学させていただいた1年生の皆さん。
学校の勉強や施設実習は大変なことも多いと思いますが、若いパワーできっと乗り越えていってくれることと思います。
古知野高校の生徒の皆さんのこれからのご活躍をお祈りいたします。

▼倫理的ジレンマの記事はこちらから


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