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義肢・装具を着用して何を実現したいか。世界にひとつだけの義肢づくり

今年度2回目の『おじゃまします』は、大阪府大東市に本社を構える、川村義肢さんへ。川村義肢さんでは、義肢・装具の製作から杖や歩行器などの歩行補助具、また自助具、住宅改修から相談まで幅広い事業を手掛けています。今回は川村グループ新規事業開発推進部見学係の高陽さん、大屋さんに、製造工場、歴史展示室などをご案内いただき、お話を伺いました。


突然ですが、皆さんに問題です。
①義肢と装具の違い、分かりますか?
②義肢の需要は増えているか、減少しているか、どちらだと思いますか?
(答えは最後👉)


やりたいことをあきらめない

下肢装具のサンプル。サイズ・素材・カラーも様々

障害のある方々にとって、なくてはならない存在である義肢・装具。機能性、耐久性・強度はもちろんのこと、常に身につけるものだからこそ、つけ心地は最も重要な要素だと考えています。

当社では、義肢装具士(国家資格)が病院で義肢や装具を使用するお客さまのお身体の採寸・採型を行い、製造部門が製作を担います。製品完成後は、再び義肢装具士がお客さまにお届けし、フィッティングをおこないます。
「お客さまの願いをカタチにするため」に、それぞれの部門が完璧を追求しています。

装具を製作する社員。石膏で作った足型(陽性モデル)に樹脂やプラスチックをあてがい成形していきます。

お客さまから依頼があれば、温泉用義足やプール用義足など、特殊な義足も開発・製作しています。

右)滑りづらく、水が抜ける温泉用義肢(ウォータープルーフ義足)

義足は絵柄やカラーを自由に選ぶことができます。好きな色や柄で気持ちが前向きになってお客さまに喜んでいただけることを願っています。

義肢・装具は個人の体形だけでなく、「義肢・装具を着用して何を実現したいか」によっても仕様が異なり、同じ製品は二つとなく全てオーダーメイドです。
そのため、工場内はたくさんの技術者と、完成品、サンプルの数々があります。


自分らしく生きていける社会の実現を目指して

また、ユーザー参加型のイベントもおこなっています。

『ハイヒール・フラミンゴ』
「義足になっても自分らしく、行けるところではなく、行きたい場所へ行ける」
社会の実現を目指す

ハイヒール・フラミンゴ」は、社内で『義足ユーザーの女子会』が発足し、2020年に『NPO法人ハイヒール・フラミンゴ』として法人化しました。
女性ユーザーならではの悩みの共有や会員同士の交流、講演活動などを通して、女性義足ユーザーが自己肯定感を持って社会とつながり、自分らしく生きていけるピアサポート事業もおこなっています。


東日本大震災が発生した2011年、「絆」という言葉が日本中で広く使われた。
社員の発案によりユニフォームの襟に刻まれた「絆」の刺繡には、
お客さまとの「絆」、社員同士の「絆」、そして「震災を忘れない」との思いが込められている。

ちなみに当社では、外国籍の社員も勤務しており、大東本社は、イスラム教の社員のための祈祷室もあります。


見学を終えて

見学中、こんなユニークなアイテムをみつけたのでご紹介します。

義肢装具士が考案した靴ベラ  Vela

靴の踵に差し込めば、靴がはけるユニバーサルデザインです。川村義肢の義肢装具士が考案した自社製品です。サポートが必要な方はもちろん、一般の方も使える新しいスタイルの靴べらです
このような自助具にみえない自助具を開発できるのも、1946年の創業以来、多くの人々の「生活」を支えてきた長年の経験と技術力があるからこそ。

生活を支える専門職として私たち介護福祉士にとっても、経験と技術を磨き続けることの重要性を再認識した1日となりました。

【クイズの答え】
①義肢は手や足の代わりとなるもの、装具は身体をサポートする道具です。
どちらも常に身をつけるものなので、つけ心地は最も重要な要素です。
②医療技術の発達により、義肢の需要は減少しています。
ちなみに、義足が必要となるケースは、意外なことに交通事故よりも病気が原因のケースが一番多いです。糖尿病による下肢切断が多いことがその理由です。




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