見出し画像

[第1部]職員も。ご利用者も。経営者も。三方良しの理想の介護を実現するために、職能団体として何ができるのか真剣に考えてみた

みなさん、こんにちは。
日本介護福祉士会note編集部です。

本日は、最近報道などたびたび登場する、介護現場のデジタル化やICT化などのテクノロジーについて触れてみたいと思います。
デジタルやテクノロジー、ICTなどと聞くと、皆さんのイメージする介護とはだいぶかけ離れた印象かもしれません。
この記事では、介護現場の生産性向上に関するこれまでの経緯や、当会が新たに開発した「デジタル・テクノロジー基本研修」について、2部構成でお届けします🤗



なぜ今、介護現場で生産性向上なのか?

いきなり憶測になりますが

①介護の担い手の数の問題
②国の財源の問題

ということだろうと思います。

皆さんもご存知の通り、今の日本では介護に限らず、どの業界も深刻な人手不足となっていますよね。
一方で、高齢者の数は2040年にピークを迎えると言われており、今後も介護が必要な人の数は増え続ける見込みです。
サービス需要を支える人材を確保するため、政府も介護の魅力発信や外国人介護人材の受け入れなど、人材の確保に全力を尽くしています。

また、介護のような対人サービスは、費用の大半を人件費が占めますので、介護現場で働く人が増えると、当然介護報酬の総額も増えることになります。

日本の生産年齢人口(働く人の数)が減り続ける中、介護業界は今後数十年にわたって他産業との採用競争を勝ち抜いていけるでしょうか。
外国人材の獲得に関しても、海外勢との獲得競争は激化しています。
現在、国や地方行政、介護業界も一丸となって人材確保のため努力していますが、確実に介護人材不足が解消されるという保証はありません。

介護報酬についても、同様です。
介護報酬はサービス利用料の一部を利用者の自己負担、残りを40歳以上の方が納める介護保険料と税金でまかなっています。
介護報酬を上げるには、利用者の自己負担、保険料、税金のいずれかを上げる必要がありますが、どれも一筋縄ではありませんよね。
自己負担を上げた結果、利用控えが起きてADLが低下し、逆に要介護度が高くなってしまった、なんてなってしまったら、元も子もありませんし、かといって保険料や税金が高くなるのは、現役世代にとっても負担が大きいことだと思います。

そこで出てきたのが、「介護現場の生産性向上」です。


そもそも、介護現場の生産性向上ってどういうこと?

「生産性」という言葉について詳しい説明は専門家に委ねますが、製造業をイメージすると分かりやすいと思います。

・工場を一日中稼働させると何個の製品が作れるか
・作業員一人当たり一時間で何個の部品を組み立てられるか、など。

投資した資源・コスト(人員や物資、お金)に対し、どれだけの価値(製品やサービス)を生み出せるか、を測る指標が生産性だと言えます。
「コスパ」と言い換えると分かりやすいかも知れませんね。

生産性向上とは「限りある資源を最大限活用して、より多くの価値を生み出そう」という概念です。

これを介護業界に当てはめて考えると「介護・福祉の専門職として、目の前のご利用者さんたちをより幸せに、そして1人でも多くのご利用者さんを笑顔にできるよう、みんなで力を合わせてケアの質を高めていこう!」というのが介護現場の生産性向上の本質なのかな、と思います。
非常にプロフェッショナルで前向きな表現に聞こえますよね。

ですが、この「介護現場の生産性向上」、実際の介護現場では評価されていないどころか、批判の声が多いぐらいなんです。


「介護現場の生産性向上」が介護現場からウケが悪いわけ(半分憶測)

2021年の12月に、内閣府の規制改革推進会議でテクノロジーの導入による介護施設の人員配置の規制緩和について検討されることが報じられると、介護現場に動揺が走りました。
当会でも急遽運営サポーターを対象とした緊急アンケートをおこないましたが、懐疑的・批判的な回答がほとんどでした。

・ロボットは人間の代わりにはなれない(限界がある)
・新しい技術の導入で逆に現場の負担が増えるのではないか
・安全性が担保できず、サービスの質が落ちるのではないか

など、テクノロジーの導入に関する疑念や配置基準緩和に関する不信感が大半でした。
介護現場では、日々様々なトラブルが発生しますが、介護職の皆さんは限られた人員で利用者さんのために最善の対応を取れるよう奮闘しています。

それを急に「生産性」だの「テクノロジー」だの「基準緩和」だのと言われると、プライドだって傷付きますし「現場のこと何も知らないのに…」と言いたくもなりますよね。

とはいえ、介護人材の確保がなかなか困難であることは事実です。
介護報酬の財源も、無尽蔵にあるわけではないということも事実です。
そんな中でも、わたしたち介護福祉士は専門職として、目の前の利用者さんのために最善を尽くす責務を担っています。

そこで、当会は介護現場の生産性向上を「業務改善」として捉え、現場サイドからのボトムアップで介護現場の業務改善を進めていけるよう、新しい人材育成プログラムを開発いたしました。
その詳細は、次回の記事でご紹介いたしますね。


続きの第2部はこちらから👀

介護分野における生産性向上について、よりくわしくご覧になりたい方は、下記より厚生労働省のポータルサイトをご参照ください。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

最後まで読んでくださった方へ。公式X(Twitter)では研修情報や会のイベント告知など、最新ニュースを発信しています。ぜひフォローしてください!